062991 ランダム
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♪わさわさの妄想部屋♪

♪わさわさの妄想部屋♪

水面下~紫~

   人はやがて 「現実」から「白」へ辿りつく

いやだ
怖い 暗い
痛い 苦しい 悲しい
誰か たすけて ここから 逃げたい

もだえ苦しむ少年に「紫」は容赦なく圧し掛かる
それは 誰からのモノではなく ただ 必然だった
だけどそれは 少年だけではなかった
誰もが 背負う「紫」
ただ 少年の背中にあった「紫」は 大きすぎたのかもしれない
「橙」は無情に過ぎ去ってゆく
少年は その「紫」から何を見出せるのか

水面下が舞う 「紫」の道標
その先にあるのは――

僕は 彼女を助けられなかった
彼女の苦しみを 分かることが出来なかった
僕に 彼女を止めることができていれば……

僕は 非力だ
たった一人の少女を助けてやれない

……どうして?
それはごく簡単な事
僕が彼女のことを知らなかったから
彼女が抱えているものを
彼女「緑」のことを
僕は ただ 手を差し伸べているだけだった


いやだ
怖い 暗い
痛い 苦しい 悲しい
誰か たすけて ここから 逃げたい


彼女はもう戻ってこない
許してほしいとは思わない 
だけど 僕の「紫」は どうしたら償えるのだろうか
どうしたら……

そして少年は極論に辿りつく
また その少年を待っていたかのように 世界が再び動き始める
「紫」にとらわれ 「緑」を見失い始め
少年は 「現実」にのまれようとしていた
ただ 彼女のたどった道を歩むために
少年の心には「黄」すらあった……

人は「紫」に「紫」を重ねてゆく
「緑」を失いながらも「銀」や「金」を求め続ける
それもまた「紫」
どれほどの「橙」がすぎようとも 変わることのない人の真理

そして少年もまた その「赤」に脅かされることだろう
だけど少年は かなわないと分かっていながらも
ただ一つの「碧」を胸に秘め
ちいさな「白」を描きながら
少女を知りに行った……

少年は静かに涙を流す
その涙は 痛みか 悲しみか 「赤」か 怒りか
そして空を見上げて少年は悟る

もう 戻れないかもしれない


やがて水面下は静かに舞い終わる
少年は 「紫」からどんな道を見出したのか
少なくとも 「黄」の元で動くだろう
それが 本当に「黄」かは また別の話……

男は何も言わない
ただ 雨の中でたたずんでいる様に
水面下を 見つめていた……

この世界で 逃れることが出来ないモノ
この地から足が離れるまで背負い続けるモノ
それとどう向き合うかは その人次第

それが  「紫」――





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